先輩とすれ違うときお疲れ様なんてもう言わない?「ご安全に!」の用法用量とその歴史

雑記
芝くん
芝くん

ご安全に!

ゼロ災で行こう!ヨシ!

芝くん(@Siva0505U)と申します!

 

このブログは僕が大学の研究室に在籍していたとき知りたかったことを中心に趣味のネタを交えながら理系大学生・大学院生に向けた生きるためのヒントになる記事を更新していきたいと考えています。

 

本記事は工場併設の研究開発センター配属になった場合新入社員研修の際に教わるであろう「ご安全に」という万能挨拶を紹介します。

僕のキャラ付けのために冒頭で使っている挨拶でもあります。

 

よかったら日常会話でも使ってみてください。

(白い目で見られても責任は取りません)

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ご安全に!(こんにちはの意)

皆さんは「ご安全に」という挨拶を聞いたことがあるでしょうか?

「ご安全に」は僕のブログ記事にも使っている挨拶です!

製造現場や工場では1日に10回は聞く言葉ですが、始めて見聞きする人にとって不思議な単語に聞こえると思います。

そこでこの記事では、魔法の言葉「ご安全に」を紹介します。

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実録「ご安全に」の使い方

「ご安全に」は一体どんなときに使える言葉なのでしょうか?

まずは「ご安全に」を使うシチュエーションを僕の一日とともに紹介します。

工場が併設された事業所勤務の朝は早い。本社勤務よりも1時間くらい早い。新型コロナウイルスの影響も相まって時差勤務で勤務時間が朝の7:30スタート

7:10

車で10分の寮から出社してきたときのことです。作業着に着替えるために更衣室に入室するときに一言「ご安全に!」

7:15

作業着に着替え事務所のデスクに向かいます。すでに出社している先輩社員や上司に「ご安全に……」

10:00

昨日のミーティングの議事録が完成しました。追記がないか先輩や上司に確認のメールを送るとき

タイトル:議事録確認のお願い

各位。 ご安全に!

議事録を作成しましたのでご確認お願いいたします。

芝くん

14:00

開発室に向かう途中です。すれ違う社員に「ご安全に〜」

16:10

就業時間なので帰る支度をしてさっさと帰りましょう。更衣室で「ご安全に〜お疲れさまでした〜」

そう、ご安全にはいつ使ってもいい挨拶なのです。社内メールなんて必ず文頭には「ご安全に」をつけてやり取りします。

実際には「おはようございます」も「お疲れ様です」も言うことがありますが、工場では全ての挨拶を「ご安全に」で済ませてもいいのです。

魔法みたいでなんて便利な言葉でしょうか!用法用量に制限はないのです!

 

こんなに「ご安全に」と挨拶しているとその語源が知りたくなるのがわたくし芝くんです。

新入社員研修でその意味は習いましたが、改めて語源を調べてみると歴史のある言葉だとわかりました。

Glückauf (グリュックアウフ)

Glückauf、ドイツ語で「ご無事で」「ご安全に」という意味の言葉だそうです。

ドイツ語ってやっぱりどこか惹かれるものがありますよね(笑)

シュタインズ・ゲート(STEINS;GATE)然り、ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER)然り、なぜか英語と混ぜられることも多いドイツ語。ドイツ語には日本人の琴線に触れる何かがあるのでしょう。

ちなみにシュタインズ・ゲートに関してはいつか僕が理系を志した理由についての記事で触れたいと考えています。

 

話が少しそれましたが「ご安全に」の語源がまさにドイツ語のGlückaufだったのです!

必死にGlückaufの起源を探したところ慶應義塾大学学術情報リポジトリにて以下のような記述を見つけました。

それでは最初にGlickaufが鉱夫の生活圏に入ってきたのは,いつどこでなのか。その最も古い典拠のひとつが,1672年の年代記にある。

(中略)。

これらの資料から浮び上ってくるのは,1680年頃にはすでに,エールツ山系の鉱夫たちの間にこの挨拶語が普及していたということであり,かつ縁起をかつぐという意味でも,初めは「開く」という意味のaufに魔的な色づけを与えていたということである。


柴田 陽弘 著, 鉱夫の言葉 : <<Glückauf>>の文化史的側面 – 慶應義塾大学学術情報リポジトリ

この記述によると約350年前からGlückaufはドイツの鉱夫たちの間でお互いの無事と安全を祈る”呪文”として挨拶に使われだしたことが分かります。

Glück(幸運)をauf(開く)という言葉が鉱山の作業員のお互いの無事を祈る意味を持つようになったようです。

言葉の成り立ちって面白いですよね!

それではなぜドイツの鉱山で使われていたGlückaufが日本の工場で使われるようになったのでしょうか?

製造現場での安全を祈願する挨拶としての普及

国内での安全祈願を込めた日常の挨拶として「ご安全に」が普及したきっかけについて調べました。

国立国会図書館が主体となって運営しているレファレンス共同データベースより引用します。

たとえば現在、多くの企業で日常的なあいさつとして浸透している『ご安全に!』は、昭和26年、製鋼所製鋼課の大中副長が、ドイツの鉱山で『Gluckauf』という『ご無事で』という意味の坑夫のあいさつ言葉を知り、帰国後、従業員への安全啓発策として『ご安全に!』をあいさつ言葉にするよう提言しました。そして『ご安全に!』あいさつ運動は、鉄鋼業界を中心に日本全国へと広がっていきました。

(中略)。

日本で初めて、昭和28年から住友金属工業では、現場での安全意識高揚・喚起するために、全事業所で挨拶運動として展開したようです。

管理番号 M12033110412598 – レファレンス共同データベース – 国立国会図書館

上記内容から「ご安全に」が日本で使われだしたのは昭和28年(1953年)の住友金属工業からであり、国内でも70年近くの歴史があることがわかりました。

工場は夜勤の方などもいるため、勤務時間もバラバラです。そこで、どの時間帯でも使えて安全意識を高めるご安全にというワードが挨拶に使われるようになったようです。

ご安全に!(さようならの意)

記事を書くときどうしても論文チックになってしまうのをどうにかしたいです!引用は大事!

ご安全に、いまでは気軽に使っていますが、入社当初は恥ずかしくてうまく言えませんでした。会社に入ると独特の文化があったりして戸惑うこともありますが、企業文化に触れるのも大学では経験できないことなので勉強になるなぁと感じています。

今後このブログでは大学の研究と企業の研究開発の違いなども記事にする予定なので乞うご期待!

それでは、ご安全に!

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